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Sara Ohtake大竹サラ

米国ATPプロフェッショナル認定コーチ
マイケル・ フレミング日本代理人
ATPジャパン主催者
クリエイティヴ・アーティスト
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profile

1994年:小学館の少女漫画誌「プチフラワー」で漫画家としてデビュー。

以後18年間に渡り、同誌、「フラワーズ」、「凛花」など小学館の漫画雑誌で連載を続ける。

1995年:14人編成の楽団「パスカルズ」に参加&欧州でデビュー、現在に至るまで、数々の映画、芝居、TVドラマなどの劇伴を担当。

2019年:自身のリードするバンド「シルバノク」を結成、CD「夜の森博物誌」をリリース。

2007年にATPフォーマル・トレーニング・スクール・米国コロラド校に入学し、7年間の課程を修了後にプロフェッショナル認定を取得した。

 

 

 

天使の像
わたしにはかつてアメリカに大変尊敬する知人がおり(今は故人となりました)その人はミュージシャンでありながら、世界中で繰り返される自然破壊や戦争の原因は、わたしたち人類ひとりひとりの内面にある抗争や荒廃が原因であり、世界の現実はその反映なのだと言い続け、内面に目を向けるようにと人々を促し、様々なアプローチでそれらを解決しようと頑張っていました。
​その人が今生きていて、このATPのアプローチを知ったら、思い切り「やった!」と膝を叩いただろうなと思います。

わたしたちの内面にある抗争や荒廃の種、他者を憎み退け、嫌悪する気持ち、戦争反対や正義を語る人ですら、その語り口が時に排斥的で好戦的で攻撃的になってしまう理由、正か悪かの二元論へのこだわり、過剰な安全性や便利さや金銭的な利益を求め、躊躇いなく自然を破壊し闇雲に人工物を作ったりしてしまう、SNSなどで、自分とは異なる見解を提唱しているだけの誰かに対して、過剰なまでの脅威を感じたり、それゆえに攻撃したりする、などなど、それら全てのバランスを欠いた行動の原因が、言語獲得前期のトラウマだと言い切ってしまっても、いいのではないかとわたしは思います。

​三歳までの幼児。
その繊細で頼りない存在が、唯一自分のケアをしてくれる保育者との間に起こる、ほんの些細な行き違いを脅威に感じ恐れ慄くという事は想像に容易く、ましてや脳神経の健全な発達に必要な心理的な滋養があるなどという知識は、ほとんどの人が持っていないのが現状ではないでしょうか。

まだ一人で生きることの出来ない幼児が、まだ保育者からの充分なアテンションや愛を独り占めしなければならない時期に、弟や妹が生まれる。
​生真面目なお母さんが、高名な博士の書いた育児書に書いてある通りに、子供が16ヶ月に達したその日に、いきなり断乳してしまう。
​今まで自分が立ち上がっただけで大喜びして拍手喝采をくれた親が、棚に登ろうとした自分に酷く驚いて慌てふためき、強く叱った。

​そのような、保育者の側には一切赤子への悪意や意地悪な気持ちなど無い出来事の連なりによって、自己価値が低く劣等感の強い大人になってしまったり、猜疑心や嫉妬の強さに悩まされていたり、他者を常に脅威に感じ人間社会で生きることに困難さを抱えてしまうなど、何らかの機能不全に陥ってしまっている人たちを、ATPの臨床的な学びを通してたくさん見てきました。

赤ん坊の「生きるか死ぬか」を心に抱いたまま生きていれば、常に裏切りや搾取を恐れ、攻撃や侵略されることを予期し、防衛的で過激で過敏になってしまうのも、無理はありません。
まだまだ親の愛を独り占めしたかった二歳児が、自分を孤独に追いやった弟を殺したいほど憎む気持ちを、大人になってから誰か別の人に転移し、戦争を始めてしまうことだってあるのかもしれません。

言語獲得前期のトラウマは、心理学の領域ではありません。
これは生物学であり、動物行動学の領域です。
三歳までは親の全集中を必要とする、とデザインされている生き物にそれが与えられないのだとしたら、その生き物は激しい飢餓感を持って、弟や妹を排除したいという気持ちを持つのは仕方が無いのです。
それは動物がサバイバルする上で、必要な防衛だからです。
そんな幼児期の傷を抱えたままの手負いの獣たちが、世界中にたくさんいれば、争いや破壊が絶えないのも無理はありません。

だからこそわたしたち人類は、自分の内面を探査し、癒し、生来の、トラウマの無いコンディションを取り戻し、生まれたての赤ん坊の様な、信頼と好奇心と愛と喜びに満ちた目で世界を見る事ができるように、回復する必要があると思うのです。

自分のためにも、他者のためにも、世界のためにも。

​                                            大竹サラ



















 
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